【BFI外伝】 バリアフリーへの道「洋食屋 自然」
人との触れ合いを大切にするお店『洋食屋 自然』
フジグラン松山店の北側の通りを東に進んでいくと赤い入口のお店があります。
以前から、
入口の大きなお店だな、
「自然」という名前からして素材等にこだわっているところなのかな、
と気になっていたのですがいつも通り過ぎていました。
先日何かの機会にHPを見ることがあり、そこには
バリアフリーの文字があり、
「間口もちょっと広め、店内もゆったりとしたスペースを確保していますので、車椅子の方にもスムーズにご利用頂けます。」
と書かれているではありませんか!?
これは「おでかけイーヨ」として、
調査する価値あり、いや、調査しなければならない!
と思い、おでかけイーヨグルメ担当Meg(略してぐるメグ)さんにバリアフリー調査と食レポをすると同時に、
お店をバリアフリー仕様とするに至った経緯をインタビューしてくるように依頼しました。
名付けて「バリアフリーインタビュー外伝(BFI外伝)」。果たして明かとなったことは!?
こんにちは、メグです!
今回「(伊予鉄道)古町駅から徒歩約3分。黄色いバイクと真っ赤な入口が目に止まる『洋食屋 自然(じねん)』をレポートしてきました。
平成17年古町駅は”すべての人にやさしい拠点地”をモットーに整備されました。プラットホームや駅舎がバリアフリー化されたこと、また近くにフジグラン松山等の大型ショッピングモール施設もあることから、今では車椅子の方をはじめ、高齢の方や小さなお子さんを連れたお母さん方も多く利用されています。
オーナーである和田光雄さんは、元々大阪出身の方なのですが、
「なぜ、松山に拠点を置いたのか。」
「なぜ、バリアフリー化した店内となっているのか。」
ということを重点に話しを伺ってきました。
■事故をきっかけに出店することを決意した
和田さんは若い頃大阪にいらした際、当時バイトをしていた飲食店へ後に料理の師匠となる方がお客さんとして来店されたそうです。それが、師匠との出会いだったとのこと。
師匠から「まず、日比谷松本楼(※2)へ行ってこい!」と言われ東京に行き、
その後青森や信州、京都や屋久島など日本全国を転々としていたとのことでした。
(※2 日比谷松本楼とは、明治36年(1903年)に洋風レストランとして創業した老舗。夏目漱石や『智恵子抄』の高村光太郎をはじめとする多くの文人の憩いの場所となり、彼らの詩や小説の舞台としても反映されているとのことです。)
そんな中、京都にある老舗のレストランで料理長をされていた際に今の奥さんと出会ったそうです。
奥さんは松山の方
とのことで、和田さんはレストランを辞め、松山に来る決意をされたとのことでした。
松山に来てからもホテルで料理の仕事をされていたのですが、11年前のある日、通勤途中にバイクの事故で内臓破裂という事態に陥ったそうです。
治療を終え、一度ホテルへ職場復帰されたのですが、その後7度も入退院を繰り返したとのこと。
これでは、「いつ倒れるか、分からない。周りに迷惑をかけるかもしれない。」ということから、ホテルでの料理の仕事を辞められました。
しかし、料理が好きな和田さんは何としてでも料理の仕事を続けていきたいという想いが強く、ご自身で開業される決意をなされたとのことです。
■入りにくいは違う!どんな方でもふらっと立ち寄れる店に!
事故をきっかけに、車椅子での生活や介助を受けるご経験をされた和田さん。
そこから、
「高齢者の方や車椅子の方でも気軽に入れるお店を作りたい」
という想いが強く芽生えたそうです.
そのため店内の広さや配置など、設計段階からの目線は「車椅子が入れるように」を一番に考えながら作られたとおっしゃっていました。
店内だけではなく、
食器も一つ一つ介助がしやすいものを選んでいるとのこと。
介助を受けるご本人も口に入れてもらいやすい形のスプーンなどを用意してくださっています。
また、「どんな方にも来てもらいたい」という想いを前提にされている和田さんは、ご来店されたお客さんから
「食べられるものがないと言われてしまうことが一番悲しい」
とおっしゃっていました。
この想いから、ミキサー食や刻み食にもご希望があれば対応する様になったとのことです。
確かに、飲み込み具合や噛める力が弱い方によっては、いくら店内がバリアフリーで入れたからと言っても食べられる物がない場合も少なくはありません。
このような和田さんのきめ細やかな気遣いがあるからこそ、リピーターとなるお客様が多くいるのでしょう。
実際に、高知県から年に1回〜2回程ご来店される車椅子ユーザーの方もいらっしゃるとのことです。
■人との出会いや繋がりが『洋食屋 自然』を作っている
『洋食屋 自然』の由来は、
“自然薯が好き”
ということと、農家さんに可愛がってもらい、無添加の野菜を使っていること。
料理はもちろんのこと調味料も全て手作り。
『自然』の味を大切にしたい。
という想いから名づけられました。
和田さんの作り出す料理は、優しい味を特徴とされています。どこか素朴で、地元を思い出すような感覚を醸し出してくれます。
リピーターの8割は、県外からいらしている方だそうです。これも地元を思い出す料理を味わえるからでしょう。
『洋食屋 自然』は、人との繋がりや出会いがあるからこそ出来たお店だと思います。
料理の師匠や奥さん、農家の方々やリピーターの方々。
その出会いや経験を一つ一つ大切にしていらっしゃるからこそ、今のお店があるのだと感じました。
今回インタビューさせていただき、人との出会いを大切にする和田さんの心の温かさが非常に伝わる時間となりました。
皆さん、ぜひ一度食べに行ってみてください。
洋食屋自然のバリアフリー&食レポートはこちらから。
洋食屋自然
住所:松山市味酒町3丁目2-5 ライオンズマンション102
電話:089-910-3572
アクセス
伊予鉄道 市内・郊外電車古町駅から約180mm
伊予鉄バス:宮西町バス停より約330m
インタビュー:2021年(令和3年)9月
インタビュー&レポート:Meg
編集:インクルデ