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【松山市】もうひとつの坊っちゃん列車の楽しみ方

松山観光人気の坊っちゃん列車

松山観光の人気アクティビティのひとつに坊っちゃん列車に乗っての市内巡りがあります。道後温泉駅⇔松山市駅、あるいは道後温泉駅⇔古町駅まで松山城やお堀、愛媛県庁本館などをコトコト揺れる列車の車窓から眺め、しばしの間レトロモダンな気分に浸ることができます。

けれども残念ながら坊っちゃん列車に車椅子の人が乗ることはできません。なぜなら列車は当時のものを忠実に再現しているため、段差があり、乗降口の幅も狭いからです。(歩行が可能な人なら乗車可能です。)

では、どのようにしたら車いすの人でも坊っちゃん列車を楽しむことができるでしょうか。
そこで今回車いすの人も含め坊っちゃん列車を楽しむことができるアクティビティを考えてみました。

現在(令和3年12月)坊っちゃん列車は土日祝日に松山中心街の路面電車路線を走っています。1日数本の運行ですが、観光客や子供連れの家族、撮り鉄などにとても人気となっています。

そこで今回考えたのが「坊っちゃん列車のフォトスポット巡り」です。坊っちゃん列車のベストショットを撮るために1日でどれだけのフォトスポットを巡るができるか。しかも移動手段としては徒歩(車いすでの移動)、もしくは市内電車での移動のみとします。時刻表を見ながらゲーム感覚で撮影を行うというものです。名付けて「撮り鉄気分で坊っちゃん列車!」

坊っちゃん列車の歴史

まず初めにこの旅をより面白くするために坊っちゃん列車の歴史を少し振り返ってみたいと思います。

坊ちゃん列車は伊予鉄道(現・伊予鉄グループ)開業から間もない頃の明治21年から67年間にわたり活躍した蒸気機関車がモデルとなっています。

伊予鉄道は1887年(明治20年)に創立された、民営鉄道としては日本で2番目の歴史を持つ老舗企業です。当時の松山の玄関口は市街から10キロほど下った瀬戸内海にある三津浜港でしたが、松山市街とは宮前川や中の川による舟運、もしくは三津街道に頼っていました。

これを改善しようと鉄道の建設を決意したのが創業者の小林信近です。小林はイギリス人技師から教えを受け、小資本でも建設できる鉄道としてレール幅の狭い軽便鉄道を採用しました。ところが鉄道局からは「地方に鉄道など時期尚早!」と却下されてしまいます。しかし小林はそれに負けずに鉄道局の(のちに日本の鉄道の父と呼ばれる)井上勝らに直談判し、その熱意に負けた形で許可が下りたのです。そして1887年に伊予鉄道が設立され、日本で初めての軽便鉄道および中四国地方で初めての鉄道として、松山 – 三津間を1888年に開業させたのです。

松山人は普段は穏やかで大人しい気質ですが、実は内なる情熱を秘めた人なのです!!

当時は黒煙をもくもくと出しながら走る機関車は当時「岡蒸気」と呼ばれ、遠近から見物に来る人が多く、草鞋を脱いで乗車する人、客車の床に正座する人、機関車の威力に感嘆して拝む人もいたそうです。

ちなみに「坊っちゃん列車」という呼び方は、夏目漱石の小説「坊っちゃん」に「マッチ箱のような汽車」としてこの列車が登場し、主人公の坊っちゃんも利用したことから、坊っちゃん列車として人々に親しまれるようになったそうです。

列車は最大18台で地域と地域を結び、松山市民の足として活躍し、地域の経済・産業・文化の向上に貢献しました。しかし近代化により列車の電化等に伴い1956年(昭和29年)路線から姿を消すこととなったのでした。

一度は廃止となった坊っちゃん列車ですが、地元地域からもう一度走らせたいという熱い声が上がります。けれどもその復元については走行場所をはじめ技術的にも数多くの問題があり困難とされてきました。それでも2001年(平成13年)地域活性化の起爆剤として実現したのです。

かつての坊っちゃん列車は石炭を焚き蒸気の力で動いていました。先に忠実に再現されたと書きましたが、現在のものはディーゼルエンジンが採用されています。さらに、煙突から出ている煙に見えるものは、蒸気を煙に見たてたものです。時代に合わせて環境に配慮した面も新生「坊っちゃん列車」の特徴と言えます。

(伊予鉄道HP、ウィキペディア「坊っちゃん列車」「伊予鉄道」等を参照)


ということで、坊っちゃん列車の予備知識も得て、松山人の内なる情熱も得たところでフォトスポット巡りゲームスタートです!

ゲームスタート

10:30 松山市駅をスタート。

最初のフォトスポットの大手町駅前の「ダイヤモンドクロス」へと向かいます。市駅から約1,100m。電車に乗らずに徒歩行きます。
ダイヤモンドクロスとは、市内電車の郊外電車の線路が直角にクロスしているところで、全国的にも珍しいところです。撮り鉄あこがれの場所のひとつです。(TV番組「ブラタモリ」でも紹介されました!)


11:10頃大手町駅前

ダイヤモンドクロスを坊ちゃん列車が通過しました。第一関門突破です。

バスや車が通る中なんとか写真に収めることができました。ちなみに坊っちゃん列車も線路の前では一時停止します。鉄道愛好家に言わせると、線路がクロスしているところを電車が通過する際の「ガタン、ゴトン」という独特の音がたまらないそうです。

次に愛媛県庁前へと向かいました。距離にして約1,100m。城山公園を通り抜け愛媛県庁本館前へと向かいます。城山公園(堀之内公園)は中心街にある広々とした公園で、見上げればお城があります。松山のシンボルのような公園です。その城山のふもとにある県庁本館は昭和4年に建てられたもので、県庁舎としては全国で3番目に古い建物です。


12:10頃愛媛県庁前

坊ちゃん列車が通過しました。第二関門突破です。こちらも車が通る中、なんとか写真に収めることができました。路面電車の線路はほとんど道路の真ん中に敷かれているので、坊っちゃん列車(全体)がきれいに撮れるかどうかは「運」です…。

さて、ここで少し時間が空いたのでお昼休憩。(中心街なのでいろいろなお店があり、食べ物には事欠きません。また城山公園にはお昼前後にキッチンカーが何台もある日も多いです。)

13:40頃松山市駅

坊ちゃん列車は松山市駅に到着します。松山市駅ではとてもレアなものを見ることができます。
坊ちゃん列車を方向転換させないといけないのですが、ここでは乗務員さん総出で、手動にて方向転換をさせます。列車の方向転換を見ることができることもレアかもしれませんが、手動でやっているのはここだけかもしれません。松山市駅にはしばらく停車しているので、一緒に記念撮影もできると思います。第三関門突破です。


14:10頃伊予銀行本店前(松山市役所前)

坊ちゃん列車は伊予銀行本店横を通過します。市駅から約800m。ここは松山城をバックに坊ちゃん列車を写真に収めることができます。僕の中では一番のフォトスポットです! 運がよければ、信号待ちで停車することもあるのでいろんな角度から写真を撮ることができます。


その後松山市駅から市内電車に乗り(※1)、道後温泉駅へ向かいます。市駅から道後温泉まで約3.6キロです。時間によっては低床電車じゃない電車の場合があります。その時には運転手さんが次の低床電車の時間を教えてくれるので安心してください。

※1市内電車停留所は車いすが乗れるところと乗れないところがあります。詳しくはこちら


坊ちゃん列車到着まで「坊ちゃんサブレ」を食べて待ちます。坊ちゃんサブレは甘くてサクサクの食感で疲れた体にはとても癒されることができました。

16:05分ごろ道後温泉駅

降り場から左の路地へ向かったところ、ここでも列車の方向転換を見ることができます。列車はその後指定の展示所に停車をするため近くで見たり、一緒に記念撮影をしたりすることができます。


道後温泉駅内のチケットセンターには、坊ちゃん列車グッズを売っています。入口幅が73cmと僕の車いすではギリギリでした。中で回転することはできませんが、お土産や旅の記念にいかがでしょうか?


17:00頃松山市駅

松山市駅にいったん戻り、市駅そばにある最後の目的地坊ちゃん列車ミュージアムへ向かいました。ここでは坊ちゃん列車の歴史を知ることができます。坊ちゃん列車のレプリカを展示してあり細部まで間近で見ることができます。(ガチャガチャもあります!)ちなみにこのミュージアムは「スターバックスコーヒー市駅前店」と併設されているのでじっくり坊っちゃん列車を眺めながらコーヒーを飲むことができます。


ここで豆知識ですが、伊予鉄道さんのロゴを皆さん知っていますか?よーく見てみるとカタカナのイを四方向に並べているのがお分かりいただけると思います。伊予鉄→いよてつ→イヨテツ→イ4つになったのではないのでしょうか?そんな細かいことに気付くのも間近で見られるからではないのでしょうか?

18:00頃松山市駅に到着。

今回の旅「撮り鉄気分でショットthe坊っちゃん列車!」ゲーム終了です。

1日で坊ちゃん列車をこんなにも見たのは、愛媛に住んでいる僕も初めての経験でした。まさに撮り鉄になった気分で僕自身とても楽しめました。

終わりに

今回の旅はいかがだったでしょうか。(車いすユーザーは)坊ちゃん列車には乗ることはできませんが、いろんなフォトスポットを自分で見つけるのも楽しみ方のひとつになるのではないかと思います。ぜひ皆さんも、土日祝日は坊ちゃん列車フォトスポット巡りをしてみてください。思わぬ発見があるかもしれませんよ。


最後に伊予鉄道は積極的に駅や電車のバリアフリー化に取り組んでくれています。きっといつの日にか車いすの人も坊っちゃん列車に乗れるようになると信じています!


取材時の情報です。改修等により変更されていることがあります。
取材:2021年(令和3年)12月

プレゼンター:柴ちゃん

編集:IncluDe(インクルデ)